第10章 2 投稿日:2005/05/30(Mon) 23:13 No.84
健一は、待ち合わせの場所へ向かう途中、ドラッグストアを見つけた。別に用事があるわけじゃなかったが、それをきっかけに、あることを思い出した。 「あっ・・・」 もし、みつとどうかなってしまう時、コンドームが必要になる、ととっさに思った。 そう思ったのは、この時が初めてではない。昨夜、家で気がついたのだが、万が一、家のコンドームが一つ減っているのを麻子が気づいた時、言い訳が出来ない。そう思って、持ち出すのをやめた。 店で買おうか・・・それもこっぱずかしいし、何より、レシートとか、買った証拠が何か残ってしまうのも怖い。レシートは捨てればいいし、注意さえすれば、どうってことはないのだろうが、健一にそんなゆとりをもった考えなど、出来るはずもなかった。 自販機で買おうか・・・買う一瞬だけ気をつければいいか・・・でも、俺はみつと会って何がしたいんだ? 結局、買わないまま、待ち合わせの場所へ到着した。 すると、みつがそこに立っていた。ブラウスにサマーボトムス、前とは違うスポーティな印象を受けた。 近づいていくと、彼女は少し恥ずかしそうに、微笑んだ。 健一は、そのおだやかな笑顔に心底ドキッとした。
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