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感染
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第3章 7 投稿日:2004/12/01(Wed) 22:38 No.22 
えっ?不倫?!
美津子は、チャット画面を見て、驚いた。
過去ログをクリックして、話の初めから読み始めた。
オフ会かあ・・・そんなん、怖くてよう行けんわぁ・・・そんな所に行ったら、恥ずかしくて、火ぃふくわ。
でも、そうやって恋愛にまで発展する事ってあるんだ・・・いや、不倫か。
姫、どうすんねんやろう。最後までいってまうんやろか・・・。

K:どうするの?
姫:それで、悩んでて・・・
K:悩むってことは、行く可能性もあるってこと?

うわあ、Kったら、そんな言い方して。
でも、その通りやわ。悩むってことは、行く気はあるってことやわ。でも・・・いって、最後の一線越えて・・・どうするの?
美津子の「更新」をクリックする回数が増えてきて、イライラするようになっていた。
ああ、まだ発言がない・・・どうするの?姫・・・

第3章 8 投稿日:2004/12/02(Thu) 23:34 No.24 
姫:・・・そうかもしれない。
K:ダンナとはうまくいってないの?
姫:そんなことはないんだけど・・・
K:どうしたの?
姫:なんか、釣った魚にえさをあげないタイプなのかもしれない。うちのダンナ。
K:そうなん?
姫:うん。なんか、都合のいい女みたいでさ。
K:都合のいい?
貧乏人さん、いらっしゃい。

うわあ、こんなところに入室してきて〜。
美津子は、貧乏人に邪魔をされた気分だった。

貧乏人:こんばんわ>おーる
K:こんばんは>貧乏人
姫:こんばんは!>貧乏人さん

そして、話題はそれていった。

第4章 1 投稿日:2004/12/05(Sun) 23:41 No.25 
K:姫の話、知ってる?
みつ:うん、たまたま見て・・・
K:どうしたらいいと思う?

そういうところって、Kさんらしい。美津子はそう思った。人のこと、しかもネットで最近知り合った、しかも顔も名前も知らない人のことを、まじめに心配している。優しいよなあ。

みつ:難しいよね・・・
K:うん。姫はきっと、心を決めてるんだろうけど、後押ししていいものかどうか・・・
みつ:そりゃそうよね。
K:まあ、俺がそんな事言ってても仕方がないんだけどね(苦笑)
みつ:ええやん。そこがKさんらしい。
K:俺らしい?そうかな(笑)
みつ:そう(笑)
今、この発言をしながら、どんな顔をしてるんだろう?美津子は見たこともないKの顔を想像していた。きっと、生真面目で、この話にむずかしい顔をしてるんだろうな・・・
そう思うと、美津子はふと部屋で一人、くすっと笑ってしまった。

第4章 2 投稿日:2004/12/06(Mon) 23:22 No.26 
『姫さん、いらっしゃい』
あっ、姫さんが来た・・・あれから、どうなったんだろう?健一は、妹の恋愛を心配している兄のような心境だった。
姫:こんばんは〜>おーる
K:こんばんは>姫
みつ:こんばんわ!>姫さん

噂をすれば、だわ。姫さん、結局、彼と・・・。
美津子は、想像をふくらませた。

K:元気?>姫
姫:うん。元気。
K:今日は何してたの?
姫:いつもと変わんない。主婦だしね(笑)
K:それ言うたら、公務員だって、そう変化があるわけでもない(苦笑)

ああ、まどろっこしい!でも、いきなり核心に触れるのも気がひけるしなぁ・・・。美津子は、発言を打てずにいた。そして、Kさんが日常の会話を展開してることに、敬意すら感じた。Kさんだって、気にしてるはずなのに、あえてすぐには聞かない。姫のことを考えれば、それが気楽なんだわ。チャットに入るたんびに、そのことを聞かれたんじゃ、疲れるもんね。えらいなあ、Kさん。

第4章 3 投稿日:2004/12/07(Tue) 22:29 No.27 
『とーちさん、いらっしゃい』
とーち:ばんわ!>おーる
K:こんばんは>とーち
みつ:こんばんわ!>とーちさん
姫:こんばんは>とーち
『貧乏人さん、いらっしゃい』

あらら、人が増えていく・・・美津子は、肝心なことが聞けないいらだちがつのる一方で、どこかほっとするような感覚もあった。
案の上、会話は更にそれていき、それぞれが雪崩れていった。

結局、言わなかったな、姫。
健一は、退室した後で、姫の事を考えていた。気にはなるのだが、やはりこちらから聞くのもどうかと思い、遠慮してしまった。まあ、今夜は姫も、そんな話をする気分じゃなかったのだろう。もしかしたら、その後進展がなく、案外旦那と仲良くいってるのかもしれない。
うちはどうなのかな?夫婦仲・・・悪いわけではない。でも、『良い』という言葉が真っ先に出てこないことに、健一は時間の経過を感じた。もうすぐ結婚3年か。そういや、麻子とセックスしたのって、いつ以来だろう?いや、それだけじゃない。夫婦らしい事を、最近してるんだろうか?・・・いや、そもそも夫婦らしい事って、何なんだろう?

パソコン画面が、スクリーンセーバーを映しだしていた。

第4章 4 投稿日:2004/12/08(Wed) 22:40 No.28 
麻子は、娘を寝かしつけると、ソファに座り、テレビをつけた。
時間・・・10時をまわったぐらい・・・お昼にはまだ時間がある。昼ご飯は・・・昨日の晩の残りがあるか。冷蔵庫に漬物があるし、それでいいか。足りなかったら、冷凍ご飯をチンすれば十分だ。
昼食のめどがつくと、ふと、夫の事を考えた。
最近、どうしたのかな、健一さん・・・元々パソコンは家で仕事をするために買った、とか言ってたけど、最近はネットにはまっている。病気だな、ありゃ。楽しそうにキーボードたたいてるもんなぁ。チャット?とか言ったっけ。そんなんにはまって、大丈夫なんかなあ?詳しくはわかんないけど、テレビじゃ、ネットで知り合った人が事件に巻き込まれるとか、引きこもりになるとか、いろんなこと言ってたもんなあ。
まあ、大丈夫だとは思うけど。けど・・・。麻子は、確信がもてなかった。
最近、会話してないよなあ。凛ちゃんにつきっきり、という生活のせいもあるけど、健一さんも、私に何か話したいこととか、ないんかな?
凛だ。凛ちゃんが産まれてから、急に会話が減ったような気がする。
でも、麻子は、そんなものよね、と意識をテレビの再放送ドラマに向けた。

健一が、パソコンの電源を入れ、ネットにつないだ。いつものチャットには、参加者(1)姫、と表示されていた。特に独り言もない様だった。
K:こんばんは
姫:こんばんわ〜
K:元気?
姫:うん。Kが来てくれてよかった。
K:うん?どうしたの?
姫:こないだの事でさ、報告したい事があって・・・
健一は、息を飲んだ。

第4章 5 投稿日:2004/12/09(Thu) 22:26 No.29 
K:何?
姫:実はね、こないだ彼と会って
K:うん
姫:結局、最後までいっちゃった

ああ、やっぱりなあ。いずれそうなるとは思ってたよ。

K:そっか。それは、よかったな、と言うべきかな?(笑)
姫:(笑)よかったんじゃない?

聞いてみると、あっけない話だった。当人にとっても、その程度の話なのかもしれない。もちろん、人それぞれの価値観があるのだから、人によったら、想像もできないとんでもない話、と言えるのかも知れない。
ただ、気になっているのは、姫の『その後』だ。それっきりで終わるのか、それとも・・・

姫:どうしたの?

あ、しばらく発言してなかった。ひいてるように思われるのもまずい。

K:トイレ(苦笑)ただいま
姫:おかえり〜

これ以上、この話をする気はなかった。姫も同じ考えのようで、話題は移っていった。

第4章 6 投稿日:2004/12/10(Fri) 23:55 No.30 
ああ、一線を越えちゃったか・・・
過去ログを見て、美津子は納得した。まあ、そうなるのは時間の問題だったんだわ。
でも、夫以外の男性との、そういうのって、どんな感じなんだろう?想像してみるが、未婚の美津子には少し難しかった。
もちろん、経験がないわけじゃない。でも、最後にあったのは、いつだっただろう?しかも、不倫の経験はない。
もちろん、一般論としての想像は出来る。いけないこととは知りつつも、感情が抑えられない、みたいな。だが、人はそんなに単純ではない。
きっと、それまでに、いろんな要素が絡み合った結果なんだろうな、と思った。ダンナの奥さんに対する気持ち、態度、奥さんのダンナに対する気持ち、態度、仕事や人間関係などのストレス、彼の容姿、言葉、態度・・・その上で、タイミングが合ってしまったんだろうな・・・。

K:そっか。それは、よかったな、と言うべきかな?(笑)
姫:(笑)よかったんじゃない?

確かにそうだわ。手放しでは喜べない。姫にはダンナがいるんだもん。それじゃ、ダンナがかわいそうだ。
そこまで考えた時、ふと、考え込んでしまった。
姫は、『その後』、どうするつもりなんだろう?1回だけの大人の付き合い?離婚して彼のもとへ走る?ただ、このままずるずるいくの?

第4章 7 投稿日:2004/12/12(Sun) 22:30 No.31 
あ、今夜はKととーちがいる・・・。
美津子は、ためらうことなく、『チャットに参加する』をクリックした。
みつ:こんばんわ〜>おおる
K:こんばんは>みつ
とーち:ばんわ〜>みつ
みつ:今夜は2人に質問が
K:何?>みつ
とーち:どうぞ〜
みつ:同時に2人の人を愛せるものなの?
とーち:う〜ん(^^;)
K:人によるんじゃない?
みつ:そんな経験はないの?
とーち:そんなにもてない(笑)
K:ない、ない
みつ:Kは結婚してるでしょ?奥さん以外の人と・・・(笑)
とーち:そうなんだ(爆)
K:あるわけないやろ!(笑)
みつ:でも、そんな機会があったら、どうするの?>K
健一は、姫の事で、みつがいろいろ考えているんだな、と感じた。でも、オープンで、姫について、いないところでいろいろと話をするのも気がひけるのだろう。
さて、みつの質問・・・同時に2人の人を愛せるか?難しいなあ。そもそも、ここでいう『愛する』ってどういう意味なんだろう?

第4章 8 投稿日:2004/12/13(Mon) 00:43 No.32 
K:正直、わからんわ>みつ
みつ:どうして?結婚したら、その人って決めたんでしょ?
とーち:でも、それってわかんないじゃん。離婚する夫婦もいるわけだし
みつ:まあ、そうなんだけどね・・・
K:結婚したから、他の人を好きになりません、とか、結婚してるから恋愛対象になりません、というのは不自然だと思うな>みつ
とーち:ほう
みつ:どうして?
K:人を好きになるって、そんな条件つけてするもんじゃないでしょ?
みつ:ああ、なんとなくわかる
とーち:さすが年の功(笑)>K
K:うるさい(笑)>とーち
みつ:人を好きになるって、理屈じゃないもんね
K:だから、お互いに相手を惚れさせる努力みたいなもんがいるんちゃうかなぁって思う
みつ:そっか。Kさんは努力してそうだもんね

K:いや、そうでもない。嫁さんもそうかな・・・

美津子は驚いた。Kさんがそんなこと言うとは思わなかったからだ。家族円満、に思っていた。まあ、夫婦喧嘩が絶えない、なんてことはないだろうが、今いちうまくいってないんじゃないかなあ、って思っちゃうなあ。私なら、こんな優しい夫がいたら、大事にするのになあ。美津子の興味が、別の方向に向いた。

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