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誘 惑
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[第四章・乱C] 投稿日:2005/02/21(Mon) 20:52 No.47 
桃が帰って行った後…

恋由姫は どうも腹の虫が納まらない。

        (乱のPHSにメールをしてみようか?)
(ううん… メールしても返事が来なきゃお話しにならない)

一度手に取った携帯を置いて、PCを立ち上げた。

        (もしかして まだあのチャットに居るかもしれない)
(桃ってHNで入ってみようか… )
(恋由姫で入って、桃の一件は知らない振りでもする?)
(いや! 言いたいことはちゃんと言ってやろう!)

キャット2ショットチャット・・・
『全国:002  名前:乱 性別:男  メッセージ:楽しくお話ししよ(神奈川・既婚)』

        (まだ 同じ場所に居るんだ… )
(どうしよ… 入っちゃおうか? それとも止めとく?)
(別に私が悪い事してるわけじゃないもん、いつものように入ればいいんじゃん)
(よし! 入っちゃえ〜 )

恋由姫は ドキドキしながら乱の部屋番号をクリックした。

[第四章・乱D] 投稿日:2005/02/22(Tue) 22:30 No.48 
***********恋由姫さんが入室しました***********

恋由姫  > こんにちは・・  乱 
乱     > こんにちは
恋由姫  > こんな時間にも居るんだね?
乱     > うん、暇だったから少し前からね
恋由姫  > そうなんだぁ
乱     > 恋由姫が最初のお客さんだよ

(嘘つき! なんでそんな嘘を言うのよ!)
(まさか、前に来た人にメルアド教えて来月会おうって誘ったとは言えないだろうけど・・ )

恋由姫はどうやって突っ込んでやろうが、頭の中を整理していた。

乱     > あれ? どうした?
恋由姫  > ううん・・  あのね・・・桃って知ってる?
乱    > ん? 桃って恋由姫だったのか?
恋由姫 > ううん、そうじゃないけど。
乱    > じゃあ どうして桃を知ってる?
恋由姫 > 桃ってね、友達なのよ。 それでね…

恋由姫は桃がどうして乱の部屋に行ったのかを説明した。

乱    > そうだったんだ。 参ったなぁ…  ^^;
恋由姫 > 桃が選んだ部屋を「駄目」って言うわけにはいかないし
乱    > それは そうだね
恋由姫 > でね、チョッと文句を言いに来た!
乱    > うん・・・
恋由姫 > どうして桃を誘うの?
乱    > ^^;
恋由姫 > 何が仕事? 何が出張? 私に会いに来るんじゃなかったの?
乱    > ^^;
恋由姫 > ああやって、誰でも誘っちゃうわけ? 誰にでもメルアド教えるわけ?
乱    > ^^;
恋由姫 > 都合が悪くなると顔文字だけ?
乱    > だって〜 ^^;
恋由姫 > ほらっ! また顔文字
乱    > ^^;
恋由姫 > 私は 乱の恋人じゃなかったの?
乱    > そうだよ
恋由姫 > なら、どして? 桃を誘ったの?
乱    > だからぁ〜 ^^; ごめん ^^;
恋由姫 > 桃が乱を気に入ったら?
乱    > 適当に断るよ
恋由姫 > やっぱ遊び人で浮気者でワルの乱だね!
乱    > そんな事ないよ〜 ^^;

今回は恋由姫の勝ち。
この後 乱は深々と恋由姫に詫びを入れて一件落着。。

(うーん… まだスッキリはしないけど)
(でも 好きになっちゃった弱み?)
(でも 今度悪さ見つけたら許さないんだから)

      *******END********


[第五章・まつ@] 投稿日:2005/02/25(Fri) 22:14 No.49 
ツーチャ・ドットコム…
ここの2ショットチャットは 地区別・年代別・待ち合わせ等々、あらゆる区分がされている。
入室する前に待機者の詳しいプロフィールもわかる… 待機理由・性別・年齢・血液型・趣味・体型・婚暦・職業・年齢その他諸々。

恋由姫は45歳以上のバンドを選択した。

[待機者・まつ  北海道・58歳・楽しくお話しできれば・・・・・・  ]

(同じ北海道かぁ… )
     (年齢はかなり上だけど… )
(なんだか いい感じの人っぽい)

『恋由姫さんが入室しました』
恋由姫 > こんにちは
まつ   > こんにちは はじめまして
恋由姫 > はじめまして、よろしくね
まつ   > 来てくれてありがとう  よろしくね
恋由姫 > 北海道の方なんですね、 私も北海道です
まつ > それは嬉しいなぁ  僕は釧路からです
恋由姫 > 今日はお仕事はお休みですか?
まつ   > いや、身体を壊していて自宅療養中でね
恋由姫 > それは大変ですね、どこが悪いの?
まつ   > もう歳だから あちこちにがガタガタだよ (笑)
恋由姫 > そんな〜 ^^;

これが恋由姫とまつの出会い…
今までに会ったことないような 落ち着いて素朴な感じのするまつに 恋由姫は不思議な興味がわいていた。。。。






[第五章・まつA] 投稿日:2005/02/26(Sat) 12:38 No.50 
次の日も恋由姫は、まつに会った2ショットに行ってみた。

(まつさん、身体を壊してるって言ってたけどどこが悪いんだろ)
(今日も居るかな?)

この間と同じ45歳以上のバンド…

(いた!)
(個人的なリアルなお話しって あまりしつこく聞くのは失礼かな?)
(とりあえず、普通に雑談でも出来ればいいかなぁ… )

『恋由姫さんが入室されました』
恋由姫 > こんにちは。 昨日お話した恋由姫です。
まつ   > こんにちは。 またお会いできて嬉しいなぁ… ありがとう
恋由姫 > ううん… 私もお話したいって思ったから来ました
まつ   > 今日はね 午前中、気分が良かったので散歩してきたよ
恋由姫 > そうなんだぁ。 疲れなかった?
まつ   > 好きな写真を撮ってきたからね… 疲れたなんて言ったらバチが当たる (笑)
恋由姫 > 写真が趣味なの? どんな写真撮るんですか?
まつ   > 風景や花の写真が多いかな
恋由姫 > 今日はいい写真が撮れましたか?
まつ   > どうだろ? 下手の横好きだからなぁ
恋由姫 > 見せてくれる?
まつ   > 見せるって どうやって?
恋由姫 > うーん… どうしよっか?
まつ   > アドレスを教えてもらえれば そこに送るけど
恋由姫 > メッセンジャーとかは してませんか?
まつ   > してるよ。 じゃあメッセ繋いでもらえるのかな?
恋由姫 > いいですよ〜
まつ   > ありがとう

     (まつさんって 今までの人たちとは違う)
     (いい人っぽいし、メッセ繋いでも大丈夫そう^^ )

このあと 恋由姫とまつは メッセを交換して2ショットは閉じた

[第五章・まつB] 投稿日:2005/02/27(Sun) 14:14 No.51 
メッセンジャーに移って…
恋由姫 > あらためて こんにちは
まつ   > こんにちは
恋由姫 > ここからは はじめまして… ですね
まつ   > うんうん、はじめまして。よろしくね
恋由姫 > はい、よろしくお願いします
まつ   > 早速 写真を送っていいかい?
恋由姫 > はい、いいですよ〜
 ・・・まつさんから○○○ファイルの送信があります 許可しますか・・・・
 ・・・・送信中・・・・
 ・・・・受信しました・・・
恋由姫 > あっ、来ましたよ! キレイなお花
まつ   > これはね エゾエンゴサク っていうんだ
恋由姫 > そうなんだぁ とっても綺麗な紫色だわ
       他には無いの? もっと見たいなぁ
まつ   > あるよ、 ちょっと待ってて

こうやって何枚かの写真がまつから送られてきた
野草の事などほとんど知らない恋由姫だったが とても楽しい時間を過ごす事ができた

恋由姫 > あまり長く話していたら疲れませんか?
まつ   > いや、楽しいから大丈夫だけど これくらいにしようかな
恋由姫 > はい。 それじゃまたね
まつ   > またね

      (明日もまたお話ししよう)
(なんだか 温かい気持ちになれる)
(まつさんって 不思議な人だぁ… )

「第五章・まつC] 投稿日:2005/02/28(Mon) 14:39 No.52 

(まつさんって何時頃にメッセを立ち上げているんだろう?)
(時間とか約束しておけばよかったなぁ… )
(もうそろそろ昨日お話した時間だから居るかも? )

恋由姫は愛用のWindowsを立ち上げ、続けてメッセンジャーを起動させた。。。
まつのメッセンジャーはオフライン。
     
     (まつさん、居ないのかぁ)
     (昨日も一昨日もこの時間に居たんだけどなぁ…)
     (今日は体調が良くないのかも… )

しばらくして、まつのメッセンジャーが上がった。

     (あっ! まつさんだわ)
(どうしよう… こちらから声をかける? )
(それとも 待ってみようかなぁ )

そんな事を考えている間に 数分の時間が過ぎた。

     (あれ、 まつさん… 知らない間に落ちちゃってる )
     (やっぱり 声かければよかったなぁ… )

まつも同じ事を事を考えていた
自分から声をかけて良いものかどうか… もしも恋由姫が誰かと話してるなら迷惑かもしれない… と。
メッセンジャーというのは なかなか難しいものだ。
お互いが駆け引きをして、遠慮して話したいけど話しができない。
知り合って間もなくて、お互いのペースが分かり合えていない二人だと尚更の事 難しい。

     (今日は もう待っても無駄かな?)
( 明日は 思い切って声かけてみよう )




[第五章・まつD] 投稿日:2005/03/01(Tue) 21:02 No.53 
今日は早めにメッセンジャーを立ち上げて まつのオンラインを待つことにした。
恋由姫は、まるで恋人でも待っているような気分だった。

 ・・・まつがサインインしました・・・

       (あっ、まつさん… 今日は声かけなきゃ)
       (でも まつさんから声かけてくれるかな?)
       (なんて待ってないで、よし!  こっから声かけちゃおう)

恋由姫 > こんにちは まつさん
まつ   > あっ、 こんにちは。
恋由姫 > 今 お話ししてて大丈夫ですか?
まつ   > うん 大丈夫だよ
恋由姫 > 昨日は遠慮しちゃって 声かけられませんでした
まつ   > 僕はね 恋由姫さんから声がかからないのできっと誰かとお話し中だと思ってたんだ
恋由姫 > そうだったんだぁ… なんだか同じ事考えてたみたいですね
まつ   > これこからは お互いに遠慮は無しって事で。
恋由姫 > はい。 そうしましょう
まつ   > 今日はね、午前中に病院に行ってきたんだ
恋由姫 > 体調悪いんですか?
まつ   > いや、月に二度定期的に診察を受けてるんだよ
月に一度は診察のみ、あとの一回は診察と薬を貰ってくるんだ。今日は診察のみの日だったんだよ
恋由姫 > そうなんだぁ。  それで、どうでしたか?
まつ   > 良くも無し、悪くも無し。 まぁ 悪くなっていないから良かったよ。
恋由姫 > 治療を続ければ治るんでしょ?
まつ   > 治らないだろうだなぁ。 治療をして少しでも寿命が延びればって感じだよ
恋由姫 > そんな・・・   もっと前向きに考えなきゃ!  病気を治さなきゃ!
まつ   > もっと若ければね〜  そんな意欲も湧くんだろうけど、僕はもう若くないからね
恋由姫 > 何言ってるの? ご家族だって居るでしょ? まつさんが良くなる事を望んでるでしょ?
まつ   > あぁ、妻と二人暮らしだよ
恋由姫 > 二人暮らしなら なお更治って欲しいって思ってるに違いないわ
まつ   > 一応 まだ新婚なんだけどね、 恥ずかしながら一昨年再婚同士で籍だけ入れたんだよ

このあと子連れ同士の再婚だった事、 二人の息子さんはそれぞれに家庭を持って北海道を離れていること、
もうすぐ初孫が生まれる事などのお話しを聞いた

まつ   > そろそろ休もうかな、 少し疲れたみたいだ。
恋由姫 > はい、 ゆっくり休んでくださいね。 明日またお話ししましょう
まつ   > うん、 明日またね

         (まつさんって、 病気に対して前向きじゃない!)
         (どこが悪いのか、何の病気なのか知らないけれど)
         (病は気から・・  って言うもの、もっとしっかりした気持ち持たなきゃ・・)
         (明日は もっと病気のことを聞いてみようかなぁ・・・)

[第五章・まつE] 投稿日:2005/03/02(Wed) 21:44 No.54 
いつもの時間は とっくに過ぎている。。。
恋由姫は いつもどおりにメッセンジャーを立ち上げたのに まつは来ない。。。

     (まつさん、遅いなぁ… )
     (どうしたのかな… 体調が良くないのかなぁ… )
     (でも 毎日この時間に、って約束しているわけじゃないし… )
(今日は もう諦めて家事でもしよっかなぁ… )

恋由姫は しばらくの間 まつを待っていたが、諦めてPCを落した。。。

     (まっ、 こんな日もあるでしょう )

[第五章・まつF] 投稿日:2005/03/03(Thu) 11:38 No.55 
この日は まつが早くからメッセを立ち上げて恋由姫の来るのを待っていた。

 ・・・・恋由姫がサインインしました・・・・
恋由姫 > こんにちは、 まつさん
まつ   > こんにちは
恋由姫 > 昨日はどうしたの? 気分でも悪かった?
まつ   > あ、 もしかして待っててくれたんだね? ごめん
恋由姫 > 待ってたけど、約束してているわけでもないしね、謝らなくてもいいですよ。
まつ   > 昨日はね、暖かかったので午前・午後と写真撮ってたんだ
恋由姫 > そうだったんだぁ
まつ   > おにぎり持ってね、自転車で少し遠出をして来たよ

6月とは言っても釧路の気温は15度位になればいい方。
昨日は 20度近くまで上がって暖かな一日だった。

恋由姫 > こっちもね、昨日は暑いくらいの気温でしたよ。 
まつ   > 暖かくなると心も躍るね 
恋由姫 > なんだか 今日のまつさんはご機嫌みたいですね
まつ   > そうかい? 恋由姫さんみたいな若い女性と話してて不機嫌だとバチが当たるよ
恋由姫 > ほらっ そんな事今まで言ったこと無いじゃないですか。
まつ   > そうだっけかなぁ・・・  
恋由姫 > うんうん、 そうですよ 。 でも、体調も良さそうでよかった。
まつ   > あっ、写真見てくれる? また野草の写真なんだけど。
恋由姫 > うんうん、見せてください

この日も何枚かの写真が送られてきた。

(まつさんの写真、いっぱい溜まったなぁ… )
(綺麗なお花や景色がいっぱいで、心が癒される… )
(今日は まつさんも元気だったし、良かった)

[第五章・まつG] 投稿日:2005/03/04(Fri) 20:53 No.56 
ある日の会話。。。

まつ   > 今日はね、チョッと体調が良くないんだ
恋由姫 > あら、そうなの? それじゃ、今日はお話しはお休みにしましょうか?
まつ   > うーん… 恋由姫と話すのは僕の元気の素だから、少しだけ
恋由姫 > はぃ… それじゃ、つらくなったら言ってくださいね
まつ   > 食欲もなくってね、朝からほとんど何も食べたないよ
恋由姫 > 無理してでも食べなきゃ! 体力がなくなっちゃいますよ!
まつ   > それは わかってるけど何も喉を通らないんだよ
恋由姫 > 何か まつの好きなものを奥様に作ってもらうとか。
まつ   > 何も食べたくない
恋由姫 > 固形物が駄目なら水分だけでも摂らなきゃ
まつ   > 何も飲みたくも無いよ
恋由姫 > もうっ! 駄々っ子みたい
まつ   > 薬だけは 何とか飲んでるからね、もうしばらくは死ぬ事もないだろう

        (今日のまつ、どうかしてる)
(よほど体調がよくないか、投げやりだし)
(そういえば、何の病気なのか聞いてない)
(聞いていいもの? )
(知りたい! でも… 聞きずらい)

恋由姫 > なんて事言うの! 怒るよ!!
まつ   > ごめん、体調が悪いと気持ちも滅入る。 
恋由姫 >あのね、聞いてもいいですか?
まつ   > いいよ、 何でも聞いて
恋由姫 > まつの病気って何ですか?

恋由姫は今までいちばん気になっていた事を 思い切って聞いてみた
内心もの凄くドキドキしていた。。。

まつ > あぁ、そういえば言ってなかったね
恋由姫 > 聞いてないけど、言いたくないなら言わなくて良いですよ
まつ > いや・・・・

この後、しばらくの沈黙が続いた

         (やっぱり こんな事聞いちゃいけなかったかなぁ・・・ )

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