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短 編 集
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卒業式前夜 投稿日:2009/03/06(Fri) 23:55 No.75 
  流れる季節達の微笑みで 送りたいけれど

 孝明先輩。明日、卒業式ですね。本当にもう会えなくなっちゃうんですよね。
 クラブの引退試合のときも悲しかった。先輩の試合、このまま終わらなければいいって、本当に本当に本当に思いました。ドキドキしすぎて、胸が一杯になりました。今だって思い出せます、先輩のプレイ1つ1つ。
 クラブで毎日会えてた日々が終わっちゃったのは悲しかったけれど、時間があれば、よくクラブに顔を出してくれましたよね。とっても嬉しかった。
 また校内で偶然出会えることもあったし、違う校舎の廊下で歩いている姿を見つけることも、今までは出来たんですよね。

  春なのに お別れですか 春なのに 涙がこぼれます

 今日、部室で一人たたずんでいましたね。今日が気持ち伝えることのできる最後のチャンスだって思って、思い切って声かけようと思ってました。
 でもラケットを愛おしそうに見つめる先輩の姿を見ていて、声、かけられなかったです。そのラケット、陽子先輩からもらったものだっていう噂流れてたの、思い出しちゃいました。付き合っていたって噂も・・・・。

  春なのに 春なのに ため息 また一つ

 明日は、先輩の姿を見ることができそうにないです。
 大好きな孝明先輩


 
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心の奥の思い 投稿日:2005/02/14(Mon) 15:08 No.10 
「いや〜ん、これも美味しそう」
色々なチョコが踊る売り場。それも美味しそうで目移りしてしまう。
「ホント、美味しそうね」
と言いながらも表情が冴えない奈々枝を見て紗枝は祈っていた。

 今日こそは本当の気持ち、紗枝に言ってよね
 遠慮なんかいらないから。本当の友達だからこそ言って欲しい
 かっちゃんはホントに素敵だから、奈々が好きになるのも仕方ない
 ねっ、だから言ってよね。奈々の本当の気持ち

「ねぇねぇ奈々。このチョコも美味しそうでしょう」
「奈々もチョコ買おうよ、ねっねっ」

 奈々が本当の気持ち言ってくれたら、私も奈々に言わなきゃいけないことあるからさ。
 実はね、紗枝はかっちゃんにもう振られてるんだ。かっちゃんには好きな人がいるんだ。それはね、奈々なんだよ。
 最初、奈々なんてぇって思っちゃった。正直恨んだりもしたよ。何故、かっちゃんの好きな人は紗枝じゃなくって奈々なんだよぉって。でも、かっちゃんは紗枝に会う前から奈々のこと知ってて、好きだったっていうし、奈々は紗枝にとっても大事な友達だし・・・・

「このチョコ、かっちゃん好きそうじゃない?」
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奥底の思い 投稿日:2005/02/14(Mon) 14:43 No.9 
「いや〜ん、これ美味しそう♪」
思わず声が出てしまうくらい、デパートのチョコ売り場に色々なチョコレートが売っている。有名パティシエの作るチョコ。限定10個限り。ヨーロッパ直輸入。色々心をくすぐる言葉が踊っている。
「これ、かっちゃんにいいと思わない?」
ちょっと高級そうなチョコを片手に無邪気に聞いてくる紗枝。
「うん、いいかもね」
と答えながら、心の奥がチクっと苦しくなるのを抑える奈々枝。
  私も克彦くん、好きなんだよ・・・・
「奈々はチョコ買わないの?」
紗枝の言葉に奈々枝はハッとした。いけない、いけない。ボーっとしてた・・・・
「人にあげるんじゃなくって自分で買って食べちゃうわ。美味しそうなチョコばっかりし」
「奈々って好きな人の話、してくれないよねぇ。いっつも紗枝ばっかしゃべってると思うんだけど」
「なんかねぇ、好きな人とかちょっと考えられないっていうか・・・・」
「ふ〜ん」つぶやくと、紗枝はこのチョコもいいなぁと他のチョコの物色をし始めてくれたので、ホッとした奈々枝だった。

 嘘つくのも楽じゃない・・・・最初に私も好きだってこと言っておけば良かったのかもしれない。でも、あんなに嬉しそうに話す紗枝の顔を見てるとやっぱ、言えない

 これでよかったのだといつもは言い聞かせていた。でも今日は特別な日。甘い香りが奈々枝の心を揺さぶる。

 早くチョコを決めて。早くここから立ち去りたい。ツライ ツライ

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もしかして・・・・ 投稿日:2005/01/30(Sun) 00:56 No.8 
 えっ、まさか・・・・

いつものチャットに入り、楽しくおしゃべりしていた成子の手が止まった。

 今入ってきた人って、もしかして・・・・

大体同じメンバーが同じチャット内で話をするのが普通。多少の新しい人の出入りはあったとしても。

 ここのチャットって結構新しい人とかも入ってくるけど、まさか・・・・

 新しく入ってきたHN『gaku』自己紹介や趣味、発言内容等々読んでいると昔の恋人春山に重なってしまった成子だった。
 さぐりを入れようと試みる。でももし、gakuが春山で、向こうに自分が別れた女だってことがばれたらと思うと、なかなかさぐりもいれられない。
 そうこう話をしているうちに、一人落ち、また一人落ちととうとう、gakuと2人なった。しかも、話の内容は恋の話。

 セイ:今は恋人いないの?
 gaku:いないよ〜(笑)昔振られてからねぇ
 セイ:・・・ゴメン、何か言いにくい事話させちゃった?
 gaku:いや、いいよ。気にしてない。ところでさぁ、セイ
 セイ:ん?何?
 gaku:ちょっと聞きたいことあるんだけど

 えっ、gaku。何を聞こうとしてるの?

 セイ:何よ〜、改まっちゃってさ
 gaku:・・・うん、何かセイとは初めて会った気がしなくってさ

 私もよ、gaku。どうしても、ハルと重なってしまうの。でも、こんな偶然ってあるのかしら?少し勇気だして、打ってみようか

 セイ:うん、私も。初めて会ったって気がしない。
    gakuって昔の彼に似てる気がする

 ああ〜、とうとう打っちゃったよぉ。gakuの返事。どう返ってくるんだろう。笑って流されるかしら。マジな話に行っちゃうのかしら。ハルだったら・・・・ハルだったら・・・・
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お兄ちゃんへ 投稿日:2004/08/24(Tue) 14:42 No.7 
 お兄ちゃん、さようなら。お兄ちゃんは私の初恋の人でした。
 中学の時に、友達と好きな人の言い合いっこして、いろんな子を好きだと言ったけど、一番好きだったのはお兄ちゃんでした。
 高校の時に初めてお付き合いしたときも、やっぱり心の奥にはお兄ちゃんがいました。付き合ってた人と比べた事はないとは思うけど、どこかやっぱり比べてたかもしてない・・・・。そのことに気付かずに、いろんな人と付き合っては別れの繰り返し。別れる時は辛いけど、お兄ちゃんの顔が浮かんで私を慰めてくれてました。

 いつもお兄ちゃんが好きだった。お兄ちゃんは私のこと一番わかってくれると思っていた。信じていた。でも、気がつきました。それは私の思い込みの中だけのことだと。会わない時間がお兄ちゃんへの思いを美化してたんだと思います。

 今日、大好きなお兄ちゃんの結婚式。心の底からお祝いして、これからは本当の妹として生きていきます。

 お兄ちゃん、今までありがとう。
                               久美子
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再会 〜周子の場合〜 投稿日:2004/07/14(Wed) 15:02 No.6 
 車を運転するようになったんだ

 車のすれ違いざま、運転席を何気に見た周子は十年以上前に別れた男・浩一だったことに驚いた。バイク野郎の浩一。『車よりバイク』と高言していた浩一。

 十年以上経ったもんねぇ。バイクしか乗らない!なんて言ってられないか。しかし、こんなところですれ違うとは。向こうは向こうでビックリしてたかも。何たって、車を運転してるわ、子ども乗せてるわ、だもん。私も変わったし。
 しかし、彼女できたのかなぁ?!『彼女』には厳しい人だったもんねぇ。自分は掃除しないくせに、私がしてないと怒ったり。ご飯作っても当たり前で、ちっとも食費を出さなかったわねぇ。こっちもバイト代から出してるっての、わかってなかったし。
 そうそう、一人暮らしの男の人の部屋に行くだけでも、近所の人から奇異な目で見られてたのに、そんなことおかまいなしで『もっと片づけろ』『飯作れ』だもん、困っちゃったよね

「おいっ!どうした?ぼーっとして」
 夫の祐介が周子の顔をのぞき込む。
「真智子の世話、大変かもしれんが、大丈夫か?」
「ん?!大丈夫、大丈夫。あ〜そうそう、祐介、あのね」
 今日の出来事を祐介に話した。
「ふ〜ん。で、すれ違って、何かときめいたか?」
ちょっと意地悪口調で祐介が周子に聞くと「全然!」キッパリ周子は言い切った。
「祐介と真智子と3人で歩いていて、今こんなに幸せだよってところを浩一に見せたいぐらいだねぇ〜」

 浩一と結婚の話をしていたときのことをフッと周子は思い出した。

 でも、無理ね。いつかは別れてたことでしょう。祐介みたく、何でも話し合って、自分らしくいられる関係で無かったから・・・・

 祐介と真智子に笑いかけた。真智子が笑顔を返してくれた。
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再会 〜浩一の場合〜 投稿日:2004/07/14(Wed) 14:24 No.5 
 あいつ、車の免許取ったのかよぉ

 車のすれ違いざま、運転席を何気に見た浩一は懐かしい顔を見てビックリした。十年以上前に別れた女・周子だったからだ。
 小回りの利く軽自動車を運転する周子。後ろの座席にはチャイルドシート・・・・

 結婚したんだなぁ。あいつの口癖は『結婚できないって思ってたから一生仕事するの』だったのに。そういや、俺もあいつとの結婚を考えたときもあったっけ。
 仕事は続けてるんだろうか。赤ちゃん乗せてたけど。仕事両立させてるんかいなぁ。

 一人暮らししていた浩一は周子に自分の部屋の鍵を渡していた。そして、ご飯作り・部屋の片づけ等々任せていたのだった。仕事と家事を両立させるための練習だと浩一は思っていた。しかし時々、部屋に帰ってみても、ご飯の用意はない、部屋は片づいていないまま・・・・。そんなことで、両立出来るわけない!浩一は何気なくそれとなく周子に話したこともあったが、その後も相変わらずだった。
「お前、本気で俺とやっていく気あるのかよ」
「あるよ。だからガンバってご飯作ったりとかしてたやんか」
「あれでかよ」
 そうしているうちに、2人の間に溝ができて、浩一の方から別れを告げた。
 その後、浩一には別の彼女ができた。可愛い後輩の朋子。でも、朋子は全く家事ができず、結局のところ3ヶ月も持たなかった・・・・。そのとき初めて、周子がガンバってやってくれてたことも思い出したのだ。

 あのとき別れずにいたら・・・・

 ひとまつの寂しさをフッと感じた浩一だった。

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想伝 投稿日:2004/06/11(Fri) 09:43 No.4 
 ・・・・好き・・・・

 何度も思い返した。いつの間に友達から好きな人になってたんだろう。当たり前にそばにいることが本当はちっとも当たり前でなかったってことに、今更気づくなんてなぁ。
 でも、あいつには彼女がいるんだよ。彼女、いい子なんだよ。今、たまたまケンカしてるだけで、仲直りしたら・・・・。
 あー、でもでも、私の方があいつのこと、すっごくよくわかってる。うん。わかってる。わかってるつもり。あいつがあんなに怒るなんて珍しいもん。あいつからの相談。いつも、大丈夫って答えてたけど、今回だけは口調が違ってたもん。かなり、やばいのかなぁ。
「やっぱ、お前の方がようわかってくれてるわ」
 嬉しかった。あいつだって、私のこと、よくわかってくれてるのよね。
 友達のつもりで話ししてたけど、私はもう友達として話せそうにないよ。思わず「別れたら」って自分の都合で答えてしまいそうになるよぉ。

 時計を見た。もうすぐ9時半。奏子は今日もかかってくるだろう、正毅からの電話を待った。

 今日も相談かなぁ

 奏子は目を閉じて、気持ちと向き合った。もう、友達面できそうにない。ちゃんと自分の気持ちを伝えよう。
 プルルル プルルル プルルル
「もしもし、あっ高遠くん」
 正毅からの電話だった。うん、この電話でちゃんと気持ち伝えよう。
「高遠君、あのね・・・・」
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くり返し 投稿日:2004/06/03(Thu) 09:36 No.3 
 もう!お母さんなんてだいっ嫌い。いつもいつも、うるさいったらありゃしない。もう少し私のこと信用してくれたっていいじゃないの

 和美は怒っていた。友達と買い物に行きたいと言っただけなのに、母親がまだ早いといって許してくれないから。

 確かにナンバは校区外だし、華やかすぎるかもしれないけど、中学生だっていっぱい行ってるのに〜。
 はあぁ、うちって何事にもうるさいし、古くさいよぉ。友達の由美ちゃんもきっと心の中では『和美ちゃんって古くさいとこある〜』って思ってるかも・・・・今回の買い物も由美ちゃんは『ホントに行けるの?』って言ってたし〜やだなぁ
 あぁ〜もう!こんな家イヤ。お父さんはお父さんでお母さんと同じ古くさいし、一成なんて弟のくせに生意気だし。なんで、こんな家に生まれてきたんだろ・・・・
 ううん、私はひろわれっ子に違いない。お母さん、よく『和美はアノ橋の下で拾ったのよ』って言ってたもん。そうよ、そうに違いない。きっと、お金持ちで優しい本当のお父さん・お母さんがどこかにいて、いつか私を迎えに来てくれるのよ

 和美は窓を開けた。ひんやりした空気が部屋の中に入ってくる。ふと夜空を見上げた。あんまり星は見えなかった。

 くしゅん!ピピッピピッピピッ
「和美、やっぱりあなた熱があるわ。今日は学校休もうね」
「ええ〜、行きたい。でもって由美ちゃん達との買い物も・・・・」
「ダメダメ。熱があるんだから、病院行って看てもらわないと」
 ぶーたれながら和美はしぶしぶ母親のいうとおりにした。やはり体がしんどく、歩くこともままならない。でも、内心ちょっとホッともしていた。
「これで由美ちゃんに買い物行けないの、納得してもらえるわね」
えっ?!と和美は母親を見た。何でわかるのよ・・・・
「ふふ〜ん。何でわかるのって顔したわね。お母さんだって和美とおんなじことあったなぁって思い出したのよ」
「へぇ、お母さんにもあったんだ」
意外そうな顔で和美が母親を見た。
「そりゃねぇ、すっごく腹が立って、こんな家族なんていらないって思ったくらいにね。っと、和美、病院は今日は夕方しかやってないみたいだから、着替えて寝ておこう」
優しい笑顔で母・彩子は和美に言った。うん。と小さくうなずいて和美は母親の言うとおりにした。

 な〜んだ。お母さんも私と一緒なんだ

自分が昨日考えたことを母親も考えたことがあるのだと知って、妙な気分になった和美だった。

「お母さん!早く体治すから、土曜日買い物に一緒に行こうね」
「いいわよ」
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通勤電車のひととき 投稿日:2004/06/01(Tue) 09:25 No.2 
 今日も走ってきたんだなぁ

 朝の通勤電車、満員電車の中。ある駅でいつも駆け込んでくる彼女の姿を見つけ、哲朗は思った。
 いつの頃からだろう。彼女の姿を目で追うようになったのは。彼女は学生時代の彼女、薫によく似ていたのだ。初めに気づいたとき、本人かもと思い、話しかけそうになったくらいに似ていたのだ。美人で勝ち気な薫。学生時代の華やかな思い出が、彼女を見る度に甦るのだ。
 息を切らしながら彼女がトートバッグの中から1冊の本を取りだした。内田康夫の小説のようだ。途中まで読んでいたらしく、しおりが挟んであった。

 彼女も推理小説が好きなのか。薫も好きだったなぁ

「エラリー・クイーンの話はね・・・・」薫の声が聞こえてきた気がした。おざなりに話を聞いている哲朗に薫は耳をキュッと引っ張り「聞いてるの?!」と詰め寄る。
「聞いてる。聞いてる」誤魔化そうと哲朗が返事をしても「じゃあ、どんなこと言ってたか話してよ!」と薫に言われると返す言葉がない。「もう!」と怒り気味に薫が先々歩いていく。はあ、今日も怒らせてしまった・・・・と思いながら薫の後をついていく哲朗だったのだ。

 ハッと我に返ると丁度降りるの駅に着いたところだった。苦笑を浮かべながら哲朗は電車を降りた。
 薫を連れて歩くと、他の男達から羨ましがられる視線は心地よかったが、勝ち気な薫自身に疲れも感じていたのだ。

 20年以上前の思い出なんて、こんなもんさ。結局のところ、続かなかったんだし、別れたんだよなぁ

 哲朗の脳裏に妻、彩子の顔が浮かんだ。

 彩子。これは決して浮気じゃないからな。でも、話してもお前は笑って「私にもそういう人いるわ」って言うかもな
 ・・・・さて、今日も家族のために働くとしますか

 微笑を浮かべながら足早に仕事場に向かう哲朗だった。

 

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